1.   1. 朝起きはすべての基本
  2.   2. 挨拶は人を動かす
  3.   3. よい結果は、準備次第
  4.   4. 一日、一回でよい
  5.   5. 手紙はすぐに書け
  6.   6. 出足を早く、引き足を早く
  7.   7. 人を感動させる話し方
  8.   8. 喜んで支払えば、お金は...
  9.   9. 即断即決の仕事法
  10. 10. 物の見方を変えるユーモア
  11. 11. 掃除は、最も簡単な修行法
  12. 12. エイッと明朗な心に切り替...
  13. 13. 職業が天職になっているか
  14. 14. 本気なら言葉に出して言う
  15. 15. 徹底的に見る
  16. 16. 「後始末」の習慣は世界を...
  17. 17. 日記で自分を成長させる
  18. 18. 労働でなく喜働でなければ...
  19. 19. 質素な生活は視野を広げ...
  20. 20. 理屈抜きに実験する
  21. 21. 事が済んだ後の心得
  22. 22. 心に空所を持つ
  23. 23. かけがえのない一瞬として...
  24. 24. 人を変えるよりも自分を改...
  25. 25. 思いやりが人の心を動かす
  26. 26. 妥協なき愛で叱る
  27. 27. 心の底から聴く
  28. 28. 人間、謙虚が第一
  29. 29. どんなことでも命がけでやれ
  30. 30. 姿勢を正せば、心境も正さ...
  31. 31. 洗面・入浴にも人柄が現れ...
  32. 32. 感謝の心なくして健康はない
  33. 33. 男は機関車のように生きよ
  34. 34. 女はゴムマリのように生きよ
  35. 35. 泣きたいときには泣け
  36. 36. 雨を喜ぶ
  37. 37. 大自然の立場に立つ
  38. 38. 教えは天地に満ちている
  39. 39. 気づいたらすぐする
  40. 40. 自分の根源は太陽にある
  41. 41. 断固たる決心が道を開く
  42. 42. 拝む形の大切さ

丸山敏雄の発見した、幸せになる生活法則


37 大自然の立場に立つ

  悩みも苦しみも、自分の器が小さいから過敏に感じる。
  気持ちを転換して、宇宙の視野から己を見直してみるとよい。
  案外こんなちっぽけなことだったのか、と笑いたくなる。

  ある秋の昼下がりのこと。敏雄は、縁側の籐椅子にゆったりと腰を沈め、杉の林にじっと見入っていた。
  そこへ、弟子の青山一真が入ってきた。
  「やはり秋らしく静かですね」
  不用意に声をかけた。とたんに、
  「しっ・・・・・・。せっかく大きな自然に向かっている時だ。黙って、一緒に向こうを見ていなさい」
  と、たしなめられた。その横顔は、穏やかそのもので、悠然としたなかにも、何か一点に考えを集中して手繰(たぐ)るような雰囲気に感じられた、と青山は当時を思い出す。
  書斎から窓の外へ目を向けると、道路を隔てた向かいの敷地内に数十本の杉が群をなしていた。原稿を書く手を休め、しばしその杉の林を見上げるのが、敏雄の何よりの楽しみだった。
  疲れやすく、ひどい肩こりに悩む人がいた。敏雄はこうアドバイスした。
  「ものごとを重荷に受けとめないで、もっと大自然に溶け込む生活をすれば、肩の荷も下りますよ」
  『言志録』という本がある。江戸末期の儒学者・佐藤一斎の随想録である。人生体験に裏打ちされた含蓄の深い内容は、広く読み告がれて、思想界に多大な影響を与えた。同書に、こんな一節がある。

  太上は天を師とし、其の次は人を師とし、
  其の次は経を師とす

  「最上の学び方というものは、森羅万象を先生として、天地すべてを学びとろうとする。人間や書物から学ぶことも大事であるが、大自然を直接の師として教えを乞うのが、真理を体得できる最高の学び方である」という意味合いである。敏雄も『言志録』を愛読したが、この一節を座右の戒として親しみ、そうした生き方を志した。
  ある年の秋、青年を対象とした研修講座が開催された。その夜の講義で、敏雄は言った。
  「君たちは、今の休憩時間をどう過ごしたか。次の講義を全身全霊で聴けるように準備を整えるためにあるのが、休憩時間です。それには、外へ出て星空を仰ぐのがよい。そして、星の運行や宇宙の呼吸と自分の呼吸とが、ともに一つの法則にのっとり、動いていることを発見することです。大きく深呼吸をして、それから講義を聴いてほしい。それくらいの心構えでないと、これからの苦難を背負って立つ青年にはなれない」
  敏雄は、大自然を「真理の百科事典」として親しみ、仰ぎ、常にその頁を繰るのをこよなく楽しんだ。晩年を過ごした武蔵野市の自宅近くには、玉川上水が流れ、豊かな自然が随処に残っていた。