1.   1. 朝起きはすべての基本
  2.   2. 挨拶は人を動かす
  3.   3. よい結果は、準備次第
  4.   4. 一日、一回でよい
  5.   5. 手紙はすぐに書け
  6.   6. 出足を早く、引き足を早く
  7.   7. 人を感動させる話し方
  8.   8. 喜んで支払えば、お金は...
  9.   9. 即断即決の仕事法
  10. 10. 物の見方を変えるユーモア
  11. 11. 掃除は、最も簡単な修行法
  12. 12. エイッと明朗な心に切り替...
  13. 13. 職業が天職になっているか
  14. 14. 本気なら言葉に出して言う
  15. 15. 徹底的に見る
  16. 16. 「後始末」の習慣は世界を...
  17. 17. 日記で自分を成長させる
  18. 18. 労働でなく喜働でなければ...
  19. 19. 質素な生活は視野を広げ...
  20. 20. 理屈抜きに実験する
  21. 21. 事が済んだ後の心得
  22. 22. 心に空所を持つ
  23. 23. かけがえのない一瞬として...
  24. 24. 人を変えるよりも自分を改...
  25. 25. 思いやりが人の心を動かす
  26. 26. 妥協なき愛で叱る
  27. 27. 心の底から聴く
  28. 28. 人間、謙虚が第一
  29. 29. どんなことでも命がけでやれ
  30. 30. 姿勢を正せば、心境も正さ...
  31. 31. 洗面・入浴にも人柄が現れ...
  32. 32. 感謝の心なくして健康はない
  33. 33. 男は機関車のように生きよ
  34. 34. 女はゴムマリのように生きよ
  35. 35. 泣きたいときには泣け
  36. 36. 雨を喜ぶ
  37. 37. 大自然の立場に立つ
  38. 38. 教えは天地に満ちている
  39. 39. 気づいたらすぐする
  40. 40. 自分の根源は太陽にある
  41. 41. 断固たる決心が道を開く
  42. 42. 拝む形の大切さ

丸山敏雄の発見した、幸せになる生活法則


15 徹底的に見る

  今までいた応接室にどんな絵がかかっていたか、言えるだろうか。
  自分の目はいったい何を見ていたのか。
  見方がまだまだ足りない。

  丸山敏雄には二つの目があった。
  研ぎ澄まされた鋭い目、そして、目尻いっぱいにしわを寄せて微笑む目。
  物事の本質を見抜く眼力は、終生の伴侶・キク夫人も恐ろしいと感じるほどだった。
  「何事にも非常な努力をしていましたので、目ざとく、私どもの起居、動作はもちろん、どなた様にも一度視線を投げますと、そっくりそのまま、その人を見抜いたものでした」
  知るはずのない他人の生活ぶりや心中を見抜くということが、どうしてできたのか。その秘密は、目の使い方、物の見方、考え方の中にある。
  敏雄の目は人だけでなく森羅万象に注意深く向けられていた。
  講演会などで地方に出かけた時も、車窓に繰り広げられる景色を遠くの方まで眺めることがよくあった。ぼんやりと見ていたのではない。絵画、書道、謡曲、尺八、短歌などによって培われた感性をフル稼動させて、あらゆるものに美を見出そうとしていたのだった。
  弟子たちにも、「なるべく世の中で評判の良いものや、人が良いというものは、見たり聞いたりしておきなさい」と勧めた。
  東京・上野の国立博物館へ「アンデパンダン展」を見にいった時、同伴の門下生に、「本当に楽しかった。君はどうだったかね」と敏雄は尋ねた。「わからない絵や彫刻がたくさんありました」と彼が答えると、「わからなくても見ておくことがまた勉強になる。わかるまで待って見ようと思うと、一生涯見られずに終わってしまうものだよ。若いうちには何でもいい、力のある限り何でもやってみることだ。今直接に何かの役に立たなくても、いつかきっと役に立つ時が来るものだ」と諭している。
  書道の上達は、他人の書の良さを見ることに始まる。歌を生む生活は、対象を観るころから始まる。真実を知る第一歩は、じっと見ることに始まる。

対象をじっと見るのである。そのままに、感情をまじえず、あるがままに、虚心に、平静に。これを正しくすることにより、次第に心の鏡が澄み、対象の感覚的観察を正しく、すみやかに得て、対象の生命にふれる。(中略)とにかく見る。たびたび見ておると、はじめ変だったものが、次第によくなる。嫌だったものが好きになってくる。見るは、知るの端(はじまり)である。知ることによって、敬が高まり、和が強まり、愛が深まる。(『作歌の書』より)

  敏雄にとって鑑賞眼を養うことは、作品に表れたその人の心、人格、生命に触れることに他ならなかった。作者の良いところを深く学び、書であれば、その作品の一点一画の特徴をとらえ、鋭く鑑賞した。
  「目は見るもの」と敏雄は言う。ありのままに、まともに、そのままに見る。好き嫌いしたり、卑しく、ひがんだ見方は、相手を損ない、自分も損なう。目は飾りでも、ガラス玉でもない。人間として正しく見ること。それが大事である。